about 私たちについて

Beginning

もともと私は、インテリア雑貨やアパレルを扱う小売業を営んでいました。
インテリア雑貨mercato メルカートのホームページへ
「どんな商品が売れるのか」「どうすれば売れるか」――そんなことを日々考え続ける仕事でした。

しかし、長男が3歳のとき。重度の知的障害と自閉症という診断を受け、私の人生は大きく変わりました。

目を離せば、どこかへ行ってしまう。何度も行方が分からなくなり、そのたびに警察にお世話になりました。無事に見つかるたび、胸の奥から込み上げるのは安堵と、「生きていてくれてありがとう」という想いでした。

家族を守ることを最優先に、仕事は二の次にする。そう考えた時期もありました。

Turning Point

福祉との出会い

そんな中、経営者の仲間に誘われて参加した、放課後等デイサービスのセミナー。自分の息子も通っていたその場所に、私は強く心を動かされました。

資格も、経験も、知識もない。それでも「この世界に関わりたい」という想いだけを頼りに動き続ける中で、志を共にできる仲間と出会い、事業を立ち上げることができました。

児童発達支援・放課後等デイサービス トレトレのホームページへ

「この子たちにとって本当に必要なものは何か」

現場に立ち、子どもたちと向き合う日々。その問いを重ねるうちに、事業は少しずつ広がっていきました。そして、次にぶつかったのが「働く」という現実でした。

どれだけ一生懸命働いても、障害のある方の賃金は月に1万円程度。その現実に、強い違和感を覚えました。

Our Mission

世の中には、障害のある方がつくったパンやクッキー、チョコレートがあります。どれも丁寧に、心を込めて作られた素晴らしいものです。

それでも――「障害者が作ったから買う」という選ばれ方が多い現実があります。もちろん、その気持ちはとてもありがたい。ですが、それだけでは賃金の向上にはつながらない。本当の意味で社会の中で評価されているとは言えないのではないか。

小売業を経験してきた私には、その構造がはっきりと見えていました。

“障害者が作ったから買ってもらう”のではなく、
“本当に価値があるから選ばれる”。

その形をつくらなければ、未来は変わらない。そう思ったとき、私の中にある小売業としての経験が、はっきりと声を上げました。

Craft Beer
ボトリング工程 充填機 ビール瓶列

そして、たどり着いた答えが――クラフトビールでした。転機となったのは、京都にある、障害のある方と共にビールづくりを行っている工場との出会いでした。実際に現地を訪れ、現場を見て、造り手の話を聞き、出来上がったビールを口にした瞬間。衝撃が走りました。

「美味しい」——それは、ただそれだけのことかもしれません。
しかしそこには、”支援”という言葉を超えた、確かな価値がありました。
ビール醸造工程

ビールづくりを学ぶ

その日から、私はビールづくりを学び始めました。工房を訪ね、勉強会に参加し、実際の現場でボランティアとして働かせていただいた日々。

そこで気づいたのは、ビールづくりは決して特別な人だけのものではないということ。丁寧な繰り返しや繊細な管理が求められるその工程は、自閉症の特性を持つ方々にとって大きな強みになるということでした。

Our Beer
ピルスナー ヴァイツェン

私たちが目指しているのは、福祉のためのビールではありません。本気で美味しい、誰もが「また飲みたい」と思うビールをつくることです。

そのビールを、障害のある方と一緒に生み出す。そして、そのビールで、家族と乾杯する。自分の子どもがつくったビールを、一緒に飲む――それは、どんな言葉よりも深い喜びと誇りをもたらしてくれるはずです。

「このビール、美味しいね」
その一言が、働く人の自信になり、社会との距離を縮めていく。
From Ichinomiya
ラベル貼り

ビールは、人と人をつなぎます。そしてその一杯が、誰かの未来を少しだけ明るくする。

私たちは、一宮のせんい団地という場所から、そんな新しい価値を、丁寧に醸し続けていきます。

尾州で栄えた一宮を象徴する、古いビルたちは最近、注目もされています。

渋ビル|一宮の古いビルたち

また、瓶のラベルに描かれているアートも、障害のある方の作品です。

1本売れるごとに、その価値がきちんと還元される仕組みをつくりました。

※1本の販売につき10円が作者に支払われます。一杯のビールの向こうにある、たくさんの想い。そのすべてを、ぜひ感じていただけたら嬉しいです。